アクセント核

語アクセントの中で、下がる箇所の名称。

日本語のアクセントは、高低アクセント(pitch accent)であり、現代共通語アクセントは高いか低いかという2段階の高低アクセントである(古代語アクセントはちょっと複雑)。その中で重要なのは、どこで下がるかである。その下がる直前の拍(または音節)をアクセント核と呼んで、アクセント型を区別する重要な要素と見なしている。

例えば、ハシという音は、「高低 ●○」(黒を高い音、白を低い音とする)と発音すると「箸」の意、「低高 ○●」と発音すと「橋」の意になる。そうした事実を、「箸のアクセント核はハ(第1音節)にあり、橋のアクセント核はシ(第2音節)にある」と説明する。なお、さらに助詞を加えて「ハシガ」と発音すると、「高低低 ●○◇」(◇は助詞)は「箸が」、「低高低 ○●◇」は「橋が」、「低高高 ○●◆」は「端が」の意味になる。「端が」などでは「ハシ」の中には下がる部分がなく、アクセント核がないということになる(「平板型アクセント」と呼ばれる)。

なお、日本語アクセントでは、1単語(=1文節)の中にはアクセント核が一つしかない。そのことによって、単語としてのまとまりを示す機能(1語表示機能)を持っている。アクセントには意味区別の機能があるが、必ずしも多くはない。それに対し、1語表示の機能は、文を単語に区切るための重要な指標でもある。どの言語においても、音連続である文の中から、単語を単語(記号)と認識して取り出すことが、その言語を理解するための重要な出発点だからである。なお、1語表示の機能は、「連濁」や「連声(れんじょう)」の機能でもあり、さらには文字の表語機能ともつながる。


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