動態動詞・状態動詞 dynamic / stative verb

動態動詞とは、動詞が時間過程を含む動詞である。「走る」が「走っている」となると、走る動作の途中過程であることを意味し(継続動詞・動作動詞)、「止まる」が「止まっている」となると、止まるという動作が完了したことを意味する(瞬間動詞・変化動詞)。それに対し状態動詞は時間過程を含まず、時間経過に応じた意味変化を表せない。例えば、「曲がる」は元から曲がっていた状態を示す語である。したがって、「曲がっている」となっても同じく状態を示すだけなので、「曲がる」と意味の上で大差ない。また、状態動詞の一類とされる「ある、いる」は、「ている」をつけた形が存在せず、その意味もまた時間過程を含まない状態を表している。

以上の説明で示したように、動態動詞・状態動詞の区別は、動詞にテイル形を付けた語の意味が問題となる。それは、完了・未完了といったアスペクトの説明に関わる動詞分類だからである。


日本語記述文法研究会(2007)『現代日本語文法3 アスペクト・テンス・肯否』くろしお出版の分類
動き動詞主体動作動詞主体変化動詞
継続動詞遊ぶ・建てる暖まる・成長する
瞬間動詞変える・一瞥する座る・死ぬ
状態動詞曲がる・そびえる/ある・いる

*用語について、「状態動詞」は一定のコンセンサスがあるが、「動態動詞」は定まっておらず、「動き動詞」「非状態動詞」とするものもある。金子が書いた教科書(『展望現代の日本語』佐藤武義編、白帝社、1996)では、「動作動詞」とした。「動態動詞」という用語がよいと考えたものの、まだ用語として定着していなかったからである。個人的には「動態~状態」という用語の対応がよいと思うのだが、研究最前線の当事者には考えがあると思う。ちなみに、それぞれの用語をGoogle検索してみると、「"動態動詞"」が多くヒットするが、英語・中国語などでの説明が多く、必ずしも日本語の説明ではない。


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