連声

日本語史上の中世期を中心に起こった、漢字熟語を作る際の音変化現象。レンジョーと読む。「イン因」+「エン縁」はそのまま一語化するなら/インエン/となるはずだが/インネン/となる。そうした現象を捉えた用語(なお、「縁」の歴史的仮名遣いは〈ヱン〉wenである)。

などが知られている。語例から分かるように、前項末音が n・m・t であり、後項頭音が 母音・半母音(j・w)の時に起こる。「ギンナン銀杏」が n、「オンミョウ陰陽」が m を加えていることから、語末音の n と m が区別されていたと推定されている。

・『言海』によると、「ハンノウ反応」は、/ハンオー/と発音されていたようだから、連声形/ハンノー/は近代において起こった現象と言える。それに対し、「サンヨウ算用」は、/サンニョー/と発音すると注されているので、現代に至る過程で連声でなくなったことになる。
・「観音」は現在/カンノン/と連声で発音されるのが普通だが、香川県の観音寺市は/カンオン/と発音されている。江戸時代にカンオンが連声となったから、古い時代の発音を残しているため、あるいは地域的な差があるためと考えられる(なお、「観」の発音は、江戸期/クヮンkwan/である)。


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