方言周圏論 Center versus periphery


柳田国男が『蝸牛考』(1930)において発表した学説。文化の中心から、地方に言葉が伝播し、中心から遠い地方に古い語形が残るとする見方。日本列島の北部と南部に同じ語形が分布することを、合理的に解釈する理論である。すなわち、日本全国がAという語形であったが、後に文化の中心でBという語形が発生し、日本の両端にAという語形が残ったと考える。

方言周圏論

柳田は「かたつむり」の語形分布において、日本の周辺域から「ナメクジ、ツブリ、カタツムリ、マイマイ、デデムシ」の順で、京都(近畿)を中心として分布しているので、「ナメクジ→ツブリ→カタツムリ→マイマイ→デデムシ」という歴史をたどったと推定した。
地方にある語形が常に古いとは言えないので、いつも正しいと言うわけではないが、方言の分布を解釈する基本的な考えとして、現在でも有力な見方の一つである。


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