翻訳 translation


翻訳とは、「起点言語 source language」を「目標言語 target language」に変換する作業である。

素朴なレベルでは、語や成句をそのまま目標言語に変換すると考えられる。それが「直訳 literal translation」である。つまり、

直訳:起点言語の表現A1 → 目標言語の表現A2

という作業である。しかしながら、置き換えるだけでは、目標言語に対する配慮がないという点で、真の意味での翻訳ではない。そもそも翻訳が伝えるものは「意味」であるから、翻訳とは「意味」を介在させて、次のように考えられる。

翻訳:起点言語の表現A1 → 起点言語の意味A1’ ≒ 目標言語の意味A2’ ←→ 目標言語の表現A2

つまり、起点言語の表現A1が意味するA1’を、目標言語で意味するA2’に近づけるために、目標言語の表現A2を工夫する作業が翻訳である。「A1=A2」が理想であるが、それは難しい。この意味での翻訳を「意訳 liberal translation」と言ってもいいが、直訳はそもそも翻訳ではないから、それと対になる意訳という用語は無いと考える。直訳は、翻訳を成立させるための準備作業と言っていいだろう。


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