比較言語学 comparative linguistics


言語の歴史的研究の一つ。言語を比較して、その元となった言語(祖語)を解明することを目的とする。(「比較文学、比較文化」などの「比較」とは、意味が異なる。そうした意味では、「対照言語学 contrastive linguistics」という用語がある。一般の意味と異なってしまったのは、言語学史の中で、比較言語学の方が先に現れたためである)。祖語の解明過程において、同系統の言語と認定する方法も確立された。そして、各言語同士の対応関係も明らかにされ、どの言語とどの言語が近いかなどのグルーピングも成される。こうした研究方法は、最初インド・ヨーロッパ語族に対して適用され、それの応用として種々の語族が設定された(現在では否定されている「ウラル=アルタイ語族」などもある)。
なお、言語の系統を生物進化の系統樹のように描くことがあるが、言語が枝分かれする要因としての他言語が書かれていないなど、比喩としての限界があることは銘記しておいてほしい。

言語学が哲学や文学などの学問から独立して、一つの学問領域として認められたのは、比較言語学の確立によるところが大きい。

日本語に適用することによって、琉球列島の言語と日本語が同じ系統に属することが証明された。また、方言に適用して「比較方言学」などの分野を開拓した。


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