文法カテゴリー(文法範疇)Grammatical Category

文法的役割をいくつかの形態によるグループとして捉えた概念。それぞれの言語にあっては、文を組み立てる場合に、必須であると見なされる文法的役割がある。例えば、単数か複数かは名詞が示す意味の一つだが、日本語で文を作るときには、単数・複数を示す必要がない。一方、英語では、名詞の単数形と複数形のどちらかを示さなければならない。そうした事象を捉えて、「名詞の数numberの文法カテゴリーは、英語では必須だが、日本語では必須ではない」(英語では名詞の数は文法カテゴリーだが、日本語では語彙的な要素である)と言う。それぞれの言語にどのような文法カテゴリーを設定するか、また各カテゴリーの形態群や意味差を記述することが、文法研究の主要な部分であると言ってよい。

日本語の名詞の文法カテゴリーとしては「格 case」くらいだが、動詞・述語では、「ヴォイス、アスペクト、みとめ方、テンス、丁寧さ、モダリティ」などが文法カテゴリーとして認められている。

なお、語彙論において「語彙的カテゴリー」という用語がある。それは、文法カテゴリーのような必須の枠組みではなく、単語を他の単語と対比的に捉える(語彙体系を記述する)ために有用な枠組みである。


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