言語の定義：声を使う人間同士のコミュニケーション体系全体
【この定義は金子が授業で説明している定義である。それがどういう正しさを持つのかは、自身で考えること】

上の定義を簡単に説明すると次のようになる。
• 「声を使う」とは、メディアとして「声」を使うことに注目した定義である。そして、手話言語や文字言語など「声」以外のメディアを使う言語を、音声言語の２次的な同位体と見なす立場に立つ。だからといって、手話言語が言語のまがい物であるなど、価値の劣る言語とするわけではない。むしろ、音声言語のない言語が存在しないこと、手話言語や文字言語が口頭の言語構造をなぞる形で成立していること（日本語の手話はＳＯＶ構造、英語の手話はＳＶＯ構造である）に注目した定義である。
• 「人間同士」とは、「動物や植物の言語」という言い方があった場合、それを、「言語」の比喩的用法と見なす観点に立った定義である。ここでもまた、動物の言語が人間言語のまがい物であるという偏見はない。むしろ、人間同士の言語に積極的に注目するという立場を表明している。
• 最後の「コミュニケーション体系全体」とは、ソシュールのラングlangueの定義に通じるもので、言語が情報作成と情報伝達という機能を備えた体系（構造）であることを主張する見方である。

なお、「言語とは軍隊を備えた方言である"A language is a dialect with an army and navy"」という言い方がある。言語と方言を区別できないということでもあるが、「言語」という用語が、一種のイデオロギー性を持つことを意識した表現である。