語(単語) word

語彙の構成要素。音素・形態素などになぞらえて、「語彙素lexeme」と呼ぶこともある。意味を持つ言語構成の単位であり、音素の中間に位置する。

単語の定義や何を単語と呼ぶかについては、研究者によって見解が分かれている。学校文法では助詞や助動詞を単語と認めているが、近年の研究者間では、助詞・助動詞を接辞と捉え、単語とは呼ばないのが一般的である。

金子の授業では、頭の中(ラング)に蓄えられている実質的な語を「語彙論的な語(語彙素)」と呼び、実現された文における文節相当の単位を「文法論的な語」と呼んでいる。語彙論的な語は、「おいしさ」にみられる「サ」や「山が」の「ガ」などの助詞・助動詞類を「接辞」として分離し(サは語彙的接辞、助詞・助動詞は文法的接辞)、/オイシイ//山/を抽出した単位である。それに対して、文法論的な語は、現に存在する文から切り出された単位で、文における機能を備えている。語を「語彙=文法的な単位」と定義すれば、語彙論的な語・文法論的な語という呼び分けが不要になるが、語に語彙的側面と文法的側面があるからこそそうした定義が可能なので、両面があることに変わりはない。なお、語彙論的な語は、おおよそ辞書における「見出し語」に相当する。


語彙論的な語 切り出された語(文法論的語)と照合できる言語体系内(脳内)の単位 可能態 /オイシイ/ /リンゴ/ /コノ/ /山/
文法論的な語 文から切り出された単位 現実態 実現された文「このリンゴは美味しかった。」における「この」「リンゴは」「美味しかった」

金子の授業では、形態論・統語論との関係で、次のような図も示している。

語と形態論・統語論


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