語彙 lexicon, vocabulary

語(単語)の集合。語彙論的な語の集まりを指す用語。辞書の見出し相当の単位が集まったものともいえる。語彙は集合であるから、複数の語を含む。語彙には、「日本語の語彙」「個人の語彙」「身体語彙」など、理念として理解できるが具体的な数が容易に数えられないものと、「夏目漱石『こころ』の語彙」「新聞の語彙」など、比較的数えやすいもの(「テクストの語彙」と称する)とがある。
また、語彙の中で最も大きなものは、「日本語」「英語」などの言語全体を限界とするものである(通言語的な「人類の語彙」のようなものは、研究対象外である)。最も小さい語彙は、「右・左、長い・短い」などの対義関係や「登る・上がる、台所・キッチン」などの類義関係に見られる2語のまとまり(集まり・集合)である。「名詞」「動詞」などの品詞も集合のひとつであるし、「煮る、炒める、揚げる、蒸す、炊く」などを「調理法の動詞」というグループと定義してひとつの集合と見なすこともできる。どんなレベルのどんな規模の集合を考えるかは、研究が解明しようとする事象や目的によって異なる。


語彙と語との関係を「集合」という用語にしたがって示せば次のようになる。
 語彙X={語a、語b、語c、語d、語e...}
 例:身体語彙={頭、口、指、足、爪先...}


語彙を整理する観点が語彙的カテゴリーである。語彙的カテゴリーとして、語形語義語構成語種位相などを挙げるのが一般的である。「文体」という語彙的カテゴリーを認める観点もある。


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