語形 word form

語(単語)の音形。語は言語記号であるから、ソシュールの言うsignifiantとsignifiéを持つ。語形は、言語記号のsignifiantに相当する。語形は表記と関わらない。したがって、flowerの意味の/ハナ/を「花」と書いても「華、はな、ハナ」と書いても語形は/ハナ/である。アクセントを語形の要素に認めるかには、論者によって違いがある。flowerの意の/ハナ(ガ)○●(◇)/とnoseの意の/ハナ(ガ)○●(◆)/は、多くの日本語方言において別アクセントであるので、金子としては別語形と認めたい(この見解は、金子にアクセント区別があるための偏向した見方かもしれない。活用型も異なる「着る」と「切る」はどう考えるだろうか)。/シリツ/の「市立」と「私立」はアクセントも同じであるので、同一語形と認め、「同音異義語」と呼ぶ。

一般に、1語には1語形が対応するが、「さびしい、さみしい」「ピーナッツ、ピーナツ」「とうがらし、とんがらし」など、複数の語形を認める場合もある。それを「語形の揺れ」と言う。「フィルム、フイルム」「コンピューター、コンピュータ」などもあり、特殊拍が関わることが多い。


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